本文
エレノア代表の豊島と申します。
エレノアのホームページは、2026年9月30日にリニューアルいたしました。公開後、PageSpeed Insights(Googleが無料で提供している、Webページの表示速度や使いやすさを計測するツール)でトップページを計測したところ、スマホでの表示速度などに改善の余地があることが判明いたしました。
そこで改善を実施し、2026年10月1日に改めて計測した結果、モバイルとPCの両方で「パフォーマンス」「ユーザー補助」「おすすめの方法」「SEO」の4つの分類が100となりました。PageSpeed Insightsに新しく加わった「エージェントによるブラウジング」についても、3項目すべてに合格しております。
本記事では、計測で見つかった課題と、全項目満点を達成するまでに実施した5つの改善を、原因と対策の順にご紹介いたします。ホームページの表示速度や使いやすさの改善をご検討中の皆様のご参考になれば幸いです。
本記事の内容
- PageSpeed Insightsの改善前と改善後の計測結果
- 「エージェントによるブラウジング」で評価される3つの項目
- 全項目満点を達成するまでに実施した5つの改善
PageSpeed Insightsの計測結果(改善前と改善後)
改善後の計測では、モバイルとPCの両方で4つの分類が100となり、「エージェントによるブラウジング」は3項目すべてが合格となりました。
計測の対象は、エレノアのトップページ(eleanor-dev.com)です。改善前は2026年9月30日、改善後は2026年10月1日11時27分(日本時間)に、PageSpeed Insightsの画面から計測いたしました。
分類ごとの点数
| 分類 | 評価する内容 | モバイル(改善前→改善後) | PC(改善前→改善後) |
|---|---|---|---|
| パフォーマンス | ページの表示の速さ | 97→100 | 100→100 |
| ユーザー補助 | 障害のある方を含め、誰もが利用しやすいか | 97→100 | 97→100 |
| おすすめの方法 | 安全性やWebの標準的な作法に沿っているか | 100→100 | 100→100 |
| SEO | 検索エンジンに向けた基本的な設定が整っているか | 100→100 | 100→100 |
| エージェントによるブラウジング | AIのエージェントがページを正しく読み取れるか | 2/3→3/3 | 2/3→3/3 |
モバイルの表示速度の指標
| 指標 | 意味 | 改善前 | 改善後 |
|---|---|---|---|
| Speed Index | 最初の画面の内容が表示されていく速さ | 4.7秒 | 1.0秒 |
| LCP | 最初の画面で最も大きな要素が表示されるまでの時間 | 1.4秒 | 1.0秒 |
| CLS | 読み込みの途中でレイアウトがずれた量 | 0 | 0 |
| TBT | 読み込みの途中で操作を受け付けなかった時間の合計 | 0ミリ秒 | 0ミリ秒 |
改善前に値が大きかったのは、Speed Indexです。
点数について
上記の点数は、2026年9月30日と10月1日に、エレノアのトップページを計測した結果です。PageSpeed Insightsの点数は、同じページでも計測のたびに多少変わります。回線の状態や、掲載する写真、外部のサービスのタグなどによっても変わるため、どのサイトでも同じ点数になるものではございません。
「エージェントによるブラウジング」の評価項目
「エージェントによるブラウジング」は、AIのエージェントがページの内容を正しく読み取れるかを評価する分類です。AIのエージェントとは、利用者に代わってWebサイトを閲覧し、情報を集めたり手続きを進めたりするAIを指します。PageSpeed Insightsの計測に使われているLighthouse(Googleが開発しているWebページの検査ツール)のバージョン13で加わりました。
評価の対象は、次の3項目です。
| 項目 | 確認する内容 | エレノアの改善前の結果 |
|---|---|---|
| アクセシビリティツリー | AIのエージェントが読み取るページの構造に問題がないか(検査ツールaxeの33の規則で確認) | 不合格 |
| 構造化データ | ページの内容を、機械が読み取れる形式で記述しているか | 合格 |
| llms.txt | AI向けにサイトの概要をまとめたファイルを置いているか | 合格 |
アクセシビリティツリーとは、ブラウザが画面の内容から組み立てる、見出しやボタン、リンクなどの構造の情報です。読み上げソフトが利用する情報で、AIのエージェントもこの情報を手がかりにページを理解します。そのため、障害のある方にとって使いやすいサイトを作ることは、AIのエージェントに正しく読み取られるサイトを作ることにもつながります。
エレノアのサイトでは、構造化データとllms.txtを改善前から設置しておりました。不合格だったアクセシビリティツリーの項目は、後述する5つ目の改善で解消しております。
全項目満点を達成するまでに実施した5つの改善
実施した改善は、以下の5つです。
| 改善 | 関係する分類 |
|---|---|
| 1. CSSのページ内への埋め込み | パフォーマンス |
| 2. 最初の画面のアニメーションの開始時期の調整 | パフォーマンス(Speed Index) |
| 3. グラデーション上の文字のコントラスト比の確認 | 点数には表れない課題 |
| 4. 飾りの英字の描き方の変更 | ユーザー補助 |
| 5. ARIAの役割の付け直し | エージェントによるブラウジング |
1. CSSのページ内への埋め込み
改善前は、ページの見た目を指定するCSSを、HTMLとは別のファイルとして読み込んでおりました。ブラウザは、別ファイルのCSSを読み込み終えるまで画面の描画を始めません。そのため、PageSpeed Insightsでは、描画を止める読み込みとして改善の候補に挙げられておりました。
そこで、各ページのHTMLの中にCSSを直接埋め込む方式に変更いたしました。エレノアのサイトは、Webサイトを構築するフレームワークのAstroで制作しており、設定(build.inlineStylesheets: 'always')を1か所追加するだけで対応できます。
PageSpeed Insightsの推定では、この変更による短縮は約0.3秒です。なお、CSSを埋め込むと、ページを移動するたびに同じCSSを読み込むことになります。ページ数やCSSの量が多いサイトでは、別ファイルのままのほうが適している場合もございます。
2. 最初の画面のアニメーションの開始時期の調整
トップページの最初の画面には、LPが組み上がっていく様子を約4秒で見せるアニメーションを配置しております。スマホでは、このアニメーションの上の部分だけが最初の画面の下端にかかります。そのため、ページを開いた直後から、画面の一部が約4秒間動き続けておりました。
Speed Indexは、最初の画面に見える内容がどれだけ早く表示されるかを示す指標です。画面の一部が動き続けていると、表示が完了していないとみなされ、値が大きくなります。改善前のSpeed Indexが4.7秒と大きかったのは、このためです。
対策として、アニメーションの枠がほぼ全部見えてから動きを始めるように変更いたしました。具体的には、枠の80%以上が画面に入ったとき、または見えている部分の高さが画面の高さの70%以上になったときに開始します。それまでは、組み上がる前の最初の形で止めております。スマホでは、スクロールして枠が見えた時点で動きが始まります。
端末で動きを減らす設定をされている方には、アニメーションを再生せず、最初から完成した形を表示いたします。
1の改善とあわせて、トップページのモバイルのSpeed Indexは4.7秒から1.0秒に短縮し、パフォーマンスは97から100になりました(2026年9月30日と10月1日の計測の比較)。
3. グラデーション上の文字のコントラスト比の確認
トップページの「エレノアの強み」の節では、紫からピンクへのグラデーションの帯の上に、大きな数字と説明文を配置しております。この説明文に灰色を使っていたため、背景とのコントラスト比(文字と背景の明るさの比)が2:1前後しかなく、読みにくい状態でした。WCAG 2.2(Webアクセシビリティの国際的なガイドライン)は、通常の大きさの文字に4.5:1以上のコントラスト比を求めています(達成基準1.4.3)。
この課題は、PageSpeed Insightsの点数には表れておりませんでした。自動の検査では、グラデーションのように色が一定でない背景の上の文字は、背景の色を判定できないとして、確認の対象から外れることがあるためです。エレノアが公開前に実施している自動の検査も同じ理由でこの箇所を確認しておらず、公開後に画面を見直した際に判明いたしました。
対策として、説明文の色を白に変更いたしました。あわせて自動の検査を見直し、グラデーションを構成する区切りの色のすべてに対してコントラスト比を計算し、最も低い値で判定する方式に改めました。これにより、同じ種類の見落としは、公開前の検査で検出できるようになっております。
PageSpeed Insightsの点数が高くても、読みにくい箇所が残っていることがございます。自動の検査に加えて、実際の画面での確認が欠かせません。
4. 飾りの英字の描き方の変更
トップページの「コンセプト」の節には、背景に大きく薄い英字「Build and care」を飾りとして配置しております。読み上げソフトには読ませない設定(aria-hidden="true")にしておりましたが、英字をページの文字としてHTMLに書いていたため、PageSpeed Insightsのユーザー補助の検査で、コントラストが不足した文字として指摘されておりました。
WCAG 2.2では、純粋な飾りの文字はコントラスト比の基準の対象外とされています(達成基準1.4.3)。しかし、自動の検査には、その文字が飾りかどうかを判断できません。
そこで、英字をHTMLの文字として書く方式をやめ、CSSで描く方式に変更いたしました。HTMLの要素にはdata-text="Build and care"という属性で文字を持たせ、CSSの::beforeでcontent: attr(data-text) / '';と指定して表示しております。末尾の/ ''は、読み上げ用の代替テキストを空にする指定です。
見た目はそのままに、コントラストの指摘は解消いたしました。
5. ARIAの役割の付け直し
トップページの「デザインサンプル」の節では、タブを切り替えてLPのサンプルを表示しております。タブで切り替わる領域には、読み上げソフトなどに「タブの中身」であることを伝えるため、role="tabpanel"というARIA(画面の構造を支援技術に伝えるための属性)の役割を付けております。改善前は、この役割を、サンプルの画像と説明をまとめた<figure>要素に付けておりました。
<figure>要素は、説明文の<figcaption>を含む場合、付けられる役割が限られます。role="tabpanel"は認められていないため、axeの規則「aria-allowed-role」(要素に合った役割だけを使っているか)に違反しておりました。「エージェントによるブラウジング」のアクセシビリティツリーの項目が不合格だった原因は、この役割の付け方です。
対策として、<figure>の外側に<div>要素を設け、タブの中身を示す役割はその<div>に付ける形に変更いたしました。見た目と操作は変わっておりません。この変更により、「エージェントによるブラウジング」は3項目すべてが合格となりました。
ARIAの役割は、要素ごとに付けられるものが決まっています。合わない役割を付けると、読み上げソフトやAIのエージェントに、ページの構造が正しく伝わりません。
よくある質問
PageSpeed Insightsの点数は毎回同じですか?
同じになるとは限りません。PageSpeed Insightsの点数は、決められた条件でページを読み込んで計測する試験の結果です。計測のたびに回線やサーバーの状態の影響を受けるため、同じページでも点数が多少変わることがございます。実際の利用者の環境で集めたデータは、試験の点数とは別に表示されます。アクセスの少ないサイトでは、このデータが表示されない場合もございます。
エージェントによるブラウジングとは何ですか?
AIのエージェントがページの内容を正しく読み取れるかを評価する、PageSpeed Insightsの分類です。アクセシビリティツリー、構造化データ、llms.txtの3項目を確認します。
スマホとPCで点数が違うのはなぜですか?
計測の条件が異なるためです。モバイルの計測は、PCより処理の遅い端末と、通信の遅い回線を想定して行われます。そのため、同じページでも、モバイルの点数はPCより低くなりやすい傾向がございます。
PageSpeed Insightsの点数が100でないと、問題はございますか?
必ずしも問題があるとは限りません。点数は、改善の余地がある箇所を見つけるための目安です。指摘された項目のうち、利用者の使いやすさへの影響が大きいものから順に対応すると効果的です。
まとめ
- 2026年10月1日の計測で、エレノアのトップページはPageSpeed InsightsのモバイルとPCの両方で全項目が満点(モバイルのSpeed Indexは4.7秒から1.0秒に短縮)
- 改善が必要だった箇所は、描画を止めるCSSの読み込みや、最初の画面で動き続けるアニメーションなど、見た目では気づきにくいもの
- 自動の検査では見つからない課題もあるため、実際の画面での確認と、検査の仕組みの見直しを組み合わせることが重要
本ブログでは、店舗や中小規模の事業者の皆様に向けて、ホームページ運用に役立つ情報を順次発信してまいります。LP制作やホームページ制作の内容と料金は、サービス・料金のページに掲載しております。ホームページのリニューアルやLPの制作をご検討の際は、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。